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理系×文系夫婦のマイル日記

マイレージ、カード、ポイント、使い方、旅の情報を書いていきます。

マイルはどこから来たのかマイルは何者かマイルはどこへ行くのか。マイルへの課税とこの先を考えてみる。

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先日、報道され記事にまとめた、「自治体ポイントとマイルの統合」の報道について。夜遅くのアップにもかかわらず、通常より多くのアクセスを頂き、ありがとうございました。

www.i10mile.com

さて、前回記事の最後に少し触れた、将来的なマイルやポイントへの課税のお話。そもそものマイルのゆくえ。前回の記事では書ききれなかった事、追加で調べて分かった事が多々ありますので、今回はそれについて考えてみようと思います。

マイルはどこから来たのか

マイルとは何で、マイルとはどこから来た物なのでしょうか。

マイル、マイレージサービスとは、1981年5月1日にアメリカン航空が開始した「AAdvantage」(アドバンテージ・プログラム)が発祥とされています。この記事を書いてる時点(2017年5月)で、丁度36年の歴史があることになります。

元百貨店店員だったアメリカン航空の社員が、百貨店勤務時代を思い出して発案したものとされ、顧客囲い込みサービスとして、ポイントを貯めると、ハワイ行き航空券やファーストクラスへのアップグレード券と交換できるというものでした。

このAAdvantage(アドバンテージ・プログラム)は、1年で100万人囲い込んだと言われ、正に航空サービスの革命でした。

大成功を収めたAAdvantage(アドバンテージ・プログラム)ですが、1社独自のポイントや常連の優待は大昔から行われていることであり、1981年に初めて発明されたわけではありません。アメリカン航空のポイントシステムが、後にこれだけ大規模なエコシステムとなったのは理由があります。

当時のアメリカは、ジミー・カーター大統領が主導した航空自由化政策(ディレギュレーション)により、航空会社の収益が逼迫していました。「AAdvantage」(アドバンテージ・プログラム)も、発案者は元百貨店店員の社員ですが、経営陣が強力にマーケティングを進めた理由は、この逼迫した状況の打破が目的でした。

経営が逼迫していたのはアメリカン航空だけではありません。ライバルのユナイテッド航空も状況は同様でした。苦しんでいる中、AAdvantage(アドバンテージ・プログラム)の重要性を瞬時に理解したユナイテッド航空は、なんと1週間後に対抗サービスの「マイレージ・プラス」を発表します。

マイレージサービス競争のスタートです。

誕生から僅か1週間で、熾烈なマーケティング競争に投げ込まれたマイレージプログラムは、アメリカン航空一社のたった1年間で、100万人の会員を集め急成長を遂げます。

誕生から僅かな期間で認知度を急速に高めたマイレージプログラムは、その後も各社急成長を遂げます。航空会社にとっては当初の目的だった囲い込みに加え、顧客管理の容易さと言うメリットも得られたからです。会員番号で顧客を管理する方法は、顧客にとっては予約時に電話で自分の名前のスペルも住所も伝える必要はないし、航空会社にとっては、予約作業の簡略化も出来るし、チケットの発券作業の簡略化もできる。ダイレクトメールなどの顧客サービスを行う際も搭乗回数と会員番号のソートを掛ければ一瞬で出来る。極めて強力なコスト削減メリットがあったのです。

 

 

強力なメリットと言われても、スマホから一瞬で空席照会と予約、カード決済まで出来てしまう現代ではイメージしにくいので、当時のシステムをご紹介します。

最初期の予約管理はご想像通り「紙」でした。電話で聞いて紙に書く。極めて古典的で、今でも小規模の美容室やレストラン等では行われている方法です。しかし、美容室は精々10席で数回転、数週間先程度までの予約ですが、飛行機の座席は桁が違います。

100席の航空機が全米で1日100便あって、3か月先の予約まで受け付けているとしたら?

管理すべき座席は、単純計算で90万席。

1便1ページに集約したとしても、9000ページの巨大台帳が出来上がります。電話ごとに何ページ目を開くかは判りません。開くまでは、予約どころか空席があるのかすらわかりません。空席があって、予約を受けるとしたら、名前を聞き、スペルを聞き、電話番号や場合によっては住所も聞いて、台帳に書きます。とてつもない手間です。

どう考えても無理のあるこの状況を打破すべく、航空会社では予約システムの電子化がかなり早い段階から行われました。軍のシステムを流用した、SABRE(セーバー)と呼ばれるIBM製の予約システムは、1964年までに全ての予約をシステムに集約しました。紙の台帳を探していた時代と比べると、何十倍も予約が効率化されましたが、やはり名前やスペルや電話番号を都度言う(入力する)手間は変わりませんし、客としても常連なのに、常に一見さんとして扱われるのも面白くありません。

それを一挙に解決したのが、マイレージプログラムでした。

電話が繋がり次第、一番初めに会員番号を伝えれば、名前も住所も電話番号も既に登録されており、態々言う必要もないどころか、担当者は自分の名前で呼んでくれます。実に心地よいサービスとなりました。

顧客もポイントが貯まりますから、積極的に番号を使おうとしてくれますし、面倒な入会の書類もポイントのために、細かいところまでキチッっと書いてくれるので、後々のマーケティングに大活躍です。

つまり、我々顧客から見ると、単にポイントを貰えるお得なシステムですが、航空会社から見ると、お客さんが覚えにくいシステム上のコードを、わざわざ自分から言ってくれる、極めて優秀な顧客管理台帳システムなわけです。

 

 

次に転機となったのは、90年代のアライアンス発足でした。1997年5月に発足されたスターアライアンスを皮切りに、 1999年ワンワールド、2000年にスカイチームがアライアンスを組みます。

このアライアンスの発足こそが、現代の巨大なエコシステム。マイレージプログラムが、良くある1社のポイントシステムとは別格になった瞬間でした。

アライアンスを組んでいる会社同士でマイルを使うことができれば、「ウチの会社のマイルを貯めれば世界中どこでもいけるよ!」と言った、強力な囲い込みの動機として役立つため、成立の経緯としては、非常に自然なものでした。スターアライアンスは世界中カバーしてて便利だからANAのマイルを貯めよう。と、なれば、目的はスターアライアンスでも、ANAに対する強力な囲い込み効果となります。

自然で単純な動機でも、それを世界中を飛び交う航空会社が行ったことに意味があります。図らずしも、マイルが世界で通用する通貨として成立したのです。

世界で通用する通貨となったマイル。仮想の通貨を持った飛行機にたくさん乗るお金もちを取り込もうと、異業種も次々と参入してきます。ホテル、食事、買い物などなどなど・・・・。

この異業種達により、マイルをお金として使う文化が生まれました。

 

マイルは何者なのか

結論から言うと、現代においては通貨です。

過去においては特典達成までの単なるスコアです。

先ほど書いた顧客名簿、上顧客管理、スコア表としての特性は、現在ではFLY-ON-ポイントやプレミアムポイント。ライフタイムマイルに譲っており、座席のアップグレードに関しても、専用のアップグレードポイントが誕生しています。

その結果、現在ではマイルは純粋に通貨としての特性を色濃くしています。

極端なものとしては、eJALポイントやSKYコインでしょうか。○○回飛行機に乗ったお客様、☆☆円決済したお客様に無料航空券(もしくはホテルなど)をプレゼント!として、目標達成までの指標でしかなかったマイルを、1円単位で使えるお金としました。SKYコインに変えてから航空券を買うと、現金と同じなので、特典なのにまたマイルが付くと言う現象まで発生します。

今ではsuicaとかnanacoとかTポイントとかEdyとか、普通の電子マネーにも変換できますから、完全に通貨扱いです。

通貨と言っても、レアな硬貨と同じようなイメージでしょうか。

昔の硬貨や記念硬貨は額面通りも使えますが、マニアの間では額面以上の金額に交換可能です。同じようにマイルの場合は、記念硬貨がビジネスクラスやファーストクラスの特典航空券がそれに当たります。15万マイルは電子マネーや日本円なら15万円ですが、特典航空券なら定価220万円オーバーのニューヨーク往復航空券の価値があります。

 

マイルはどこへ行くのか

初めはこの項目を書きたかっただけなのですが、変なタイトル付けたら前置きがとんでもなく長くなりました・・・。

切っ掛けは、ANA X株式会社について深く掘り下げて調べてた時でした。

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ANA X株式会社の社長は「稲田剛さん」です。

ANA 稲田剛とググると以下の記事に引っかかります。

www.travelvoice.jp

稲田剛氏:

新所属:マーケティング室ロイヤリティマーケティング部長 兼 マーケティング室マーケティング事業会社準備室長

旧所属:マーケティング室ロイヤリティマーケティング部長

ANA X株式会社の社長は、ロイヤリティマーケティング部の部長さんだったと言う事ですね。

ロイヤリティマーケティング部とは、「ANAマイレージクラブ」会員を対象にした各種プログラムを企画する部署で、ANAマイレージクラブ・ANAカード・AMCコマースサイトの企画・開発・運営を行っています。ANAのマイルの行方はこの部署が握っています。(今はもちろんANA Xに移管)

さて、ロイヤリティマーケティング部で検索するとこういった記事が出てきます。

www.advertimes.com

当社がLTV(ライフ・タイム・バリュー)という考え方を強く意識し始めたのは2年前からです。
それまでも1年間のご利用頻度に応じて「ダイヤモンド」、「プラチナ」、「ブロンズ」の3つのステータスサービスを提供していました。しかし例えば、今年初めて「ダイヤモンド」のステータスになられたお客様と、5年連続で「ブロンズ」のステータスのお客様、はたしてどちらが重要なのだろうかという疑問がでてきました。
そこで2013年からは生涯(ライフタイム)の概念を取り入れたサービス「ANA Million Miler Program」を開始しました。

ここがあれ?と、思ったことが、記事を書く切っ掛けでした。

前の項目でマイルは既に通貨であり、顧客の重要度の尺度は、FLY-ON-ポイントやプレミアムポイント、ライフタイムマイルにその地位を譲っていると書きました。

しかし、マイルのキーマンは、既に特別な顧客名簿をプレミアムポイントとその結果である「ダイヤモンド」、「プラチナ」、「ブロンズ」ステータスですら、見ていないと言う事です。見ていないと言うと語弊があるかもしれません。現場では今は重要視されています。しかし、こういったキーマンの言葉は未来を指していますから、近い将来はライフタイムマイルが最重要となってくるのではないでしょうか。

プレミアムポイントですら指標にならないかもしれないと言う事は、それ以前のマイルの顧客名簿としての扱いはもっと下がると言う事です。

仮に手元に100万マイル持っていても上顧客ではありません。確かに100万マイル全部使ってダイヤモンド修行を行えば上顧客ですが、100万円でも同じことが出来るので、別にマイルを持っているから上顧客と言うわけではなく、単に100万円お小遣い持ったお金持ちと変わらないと言う事です。

 

航空会社はマイルの発行を辞めるのでしょうか?

辞めません。

マイルの発行は、航空会社の重要な収益源として完全に成り立っているからです。

すけすけ (id:bmwtatsu) さんがブログで詳しく言及されていますが、マイルは航空会社から各社に販売されています。

www.sukesuke-mile-kojiki.net各社は、航空会社から購入したマイルを自社ポイントと交換してあげる事で、顧客は全然関係のない会社の還元でもマイルを得ることが出来ます。

企業としては、交換をできるようにすることで、自社ポイントの価値を高めることが出来ます。例えば、ヨドバシカメラ、ビックカメラ、ヤマダ電機どれも便利で横並びですが、ANAマイルが直で貯まるからヤマダで買う。等です。

ちなみに、マイルに限らず、あらゆるポイントは外販され、相互に利用されています。その中でもマイルが特に人気なのは、上に書いた通り、額面と実際の価値が大きく異なるからです。換金すれば15万円分のマイルは220万円のチケットにすら化けます。逆に、そんな大損でも航空会社が外販したい理由はマイルが高値で売れるからです。マイルから円に換えれば1マイル1円ですが、他社がマイルを買いたければ1マイル4円と交換が逆になっただけで4倍の価格差があります。また、航空会社にとっては220万円のチケットであっても、原価はそこまで高くありません。また、無制限に席を無料で出しているのではなく、制限しています。人気路線は355日前にPCに張り付いて予約しても「取れない」と言われるほどです。

逆に、パンアメリカン航空はマイレージ用席の割り当てを増やしすぎて、提携会社のアメリカン航空からの大量のマイレージ特典席取得者の流入を招き、その結果、有料客の減少を招いて会社の経営にとどめをさす一因となりました。そう言ったケースもあり、マイレージで交換できる席の数の設定は非常に注意を要する事項となっています。

結果ファーストクラスに交換できなかったマイルは、下位のビジネスクラスやエコノミーで消化される為、1マイルを4円で販売している以上収益となるのです。

 

マイルが通貨となると税金が絡んでくる

問題となってくるのが、このポイントで収益を上げていると言う部分と、自由に交換できると言う部分。

沢山乗った上顧客への還元は顧客サービスです。非課税となります。しかし、何度も書くようにこれはFLY-ON-ポイントやプレミアムポイント、ライフタイムマイルへ譲る流れとなりそうです。

マイルは通貨としての特性を強くしていきます。顧客サービスではない、通貨(電子マネー)としての特性とより強くした時、マイルを待ち構えているのは「課税」です。現在マイルをいくら稼いでも非課税です。しかし、お金として認められると、稼げば稼ぐだけ雑所得になります。20万円までは申告不要ですから、クレジットカードのポイントだけでマイルを貯めている人には大した問題ではありませんが、ポイントサイトをガチで回すと20万円超えてきます。税率は人によって異なりますが、計算しやすく仮に10%課税された場合、2万ポイント、ソラチカルート丸々1か月分吹き飛ぶんですから、たまったもんではありません。

ましてや、1マイル1円で本当に計算されるのかと言う問題もあります。ファーストクラス発券換算なんて考えたくもありません。

 

電子マネーとポイント、マイルは何が違うのか

それでは、日本円ではないけど、純然たるお金である電子マネーとポイントとマイルは何が違うのでしょう?

こういった論文がネットで見つかります。

企業が提供するポイントプログラムの加入者(個人)に係る所得税の課税関係について

税務大学校研究部教育官上田正勝氏

https://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/ronsou/78/04/01.pdf

ポイントについては様々な定義がなされているが、例えば、経済産業省の企業ポイントの法的性質と消費者保護のあり方に関する研究会報告書は、以下の3点の特徴を有するものをポイントとして検討を行っている。

(イ)発行企業は、ポイントプログラムに加入した消費者に対し、商品・サービスの購入や店舗への来店、ウェブページへのアクセス、アンケートへの回答等を契機として、付与条件や有効期限、利用条件などの条件付きでポイントを付与する。

(ロ)消費者は、ポイントプログラムの条件の中で、貯めたポイントを活用することで、ポイント発行企業や提携企業等から特典の提供を受ける。

(ハ)消費者は、金銭によるポイント購入ができない。

 (イ)は問題ありません。利用条件もありますし、何より電子マネーと違い、2年の期限があります。

(ロ)も全く問題ありません。活用できます。

(ハ)の項目が超グレーゾーンです。マイル買えます。

先ほどの企業間取引と言う意味もありますし、例えばデルタ航空では直でマイル買えます。

https://ja.delta.com/buygftxfer/displayBuyMiles.action

日本でもヤフオク等に出品されています。

マイルを直接お金で買う行為をバイマイルと言います。

様々な企業と連携して売買が活発になった故に、電子マネーに極めて近い存在となってしまいました。

「買える」と言う事になると、原資は発行元の経費ではなくなります。経費でないとなると、扱う法律も変わって値ます。

ポイントの原資は事業者が負担するのに対し、電子マネーは「金額・数量に応ずる対価を得て発行される」という違いを受けて、ポイントについては、電子マネーのように資金決済法による法的な消費者保護を行うのではなく、経済産業省や事業者団体等において作成されたガイドラインによる利用者保護を行うこととなっている。

また、先ほどの資料(https://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/ronsou/78/04/01.pdf)の中でこういった言及もあります。

その中で、ポイントによって得られる特典は、資産の無償または低額譲渡、用益の無償または低額提供、債務負担等に当たり、課税されるべき経済的利益となると考えられる。

税務大学校研究部では、ポイントのままでも課税を考えており、その状態でもグレーゾーンにかかわらず、電子マネーに極めて近い状態となるのであれば、正直課税は確実と見て良いのではないかと個人的には考えています。

その上で、マイナンバーとの紐つけです。国税庁は出入りのデーターを完全に掴むのでしょう。

 

まとめ

 「どこへ向かうのか」の結論としては、課税電子マネー化と言う事になります。

色の無いお金としての特性が強くなっていくものと考えられます。

そして、航空会社が重視する上顧客の判定基準は、FLY-ON-ポイントやプレミアムポイント。将来的にライフタイムマイル重視のと変わっていきます。

この前提を踏まえて今後マイルをどう貯めるのか、どう使うのかをしっかり考える必要が出てきた時期なんだと思います。